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千泡沫庭園

幾つもの泡沫から為る、どこか懐かしい庭園へ。

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ぷろふぃーる

さいしんきじ

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夢の影-2.6 


靄がかった道を行く。
ラックは確実に足を進めていく。前方を歩いているヨタと、その手に握られたレヴリーを追いながら。彼らは先から、殆ど喋らなくなってしまった。といっても、喋らないのはヨタの方であって、時々ぶつぶつ呟いているレヴリーが、羽をぱたぱたさせているのが見える。それに思わず噴いてしまうも、ラックはしっかり歩みを進める。


『ヨター。ロンに敵ワナかっタかラって、ソンナに落ち込むコトは』


小さく呟いたその言葉に、ヨタは無言でレヴリーを振りかざす。慌てたレヴリーが前言を撤回していた。何事も無かったかのようにまた歩いていく。
一面の靄景色。どれだけ歩いても、靄は晴れないし、全貌が見えない。本当に、自分らは進んでいるのだろうか。少々不安になってくる。
だからだろうか、この静寂を、微妙な空気を打ち破りたくて。ラックはふと、ヨタにこう問いかけていた。


「ヨタのお師匠さんって、どんな人なの?」


その言葉に、久しぶりに、ヨタがこちらを振り返った。




dream-2.6
夢の小路
-My Master is...-


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夢の影-2.5 


白い空間はどこまでも続く。
視覚上には何もない。
動く人間が二人。
しかし、しかしだ。耳に聞こえてくるのは、誰かの悲鳴。
青い青年は静かに耳を塞いだ。足元で少女が、不安そうに様子を窺う。


「柳尉、きにしちゃ、だめだ」


されども、柳尉は首を横に振る。


「ユメこそ、自分の事を気にするべきだ」


不服そうなユメ。
彼女が彼の心情を全て理解する事は不可能だ。

その声は、嘆きの色。
嗚咽が混じり、後悔の念が聞き取れる。
誰の声かまではわからないのだが。


「……聞き覚えがあるんだ」


ぽつり、柳尉が吐き出した言葉。

そうだ。
コ ン ナ コ ト モ 、 ア ッ タ カ モ シ レ ナ イ。




dream-2.5
嘆きの声、罵声の夢
-Malice's laugh.-



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夢の影-2.4 



そこに在るのは寂れた町並み。人の気配はまるでない。
点在する建物は、屋根はおろか、壁までもが所々欠けており、乾いた風が吹き荒ぶ。それらに絡まる、枯れた植物の群。
全てが廃墟と化した中、噴水だけが何とか形を留めていた。その周りには、まだ生きている植物の姿も。ただしその水でさえ、ただ溜まっているので最後のようだ。

そんなはずはない、とマッチは言い張る。が、眼前に広がる光景に、動揺を隠しきれない。
テンが首を傾げながら、おかしいな、と一言。
足元ではタオがその様子を心配そうに窺っている。
そう、ここはどう見ても、荒れ果てたランスターの町並み。




dream-2.4
虚像の街
-Not REAL.-



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夢の影-2.3 


とても優しくて、温かい。
誰かに抱かれているような感覚。
何も見えない、何もない。そんな場所に、彼女の声と、その温もり。
この感覚が、愛おしく感じられる。
……何か重要な事を忘れているような気がする。でも、今はどうでもいい。


「……シュー……ずっと、」


ずっとこのまま、この心地が、続けばいいのに……




dream-2.3
亡霊を呼ぶ刀の影
-Two or three voices can be heard-



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夢の影-2.2 


眩しいのは苦手だ。
まるで太陽の光を直に食らっているような、嫌な感覚に陥ってしまう。
けれども、そんな事を言っている場合ではないようで。
先程、案内人(レヴリーの方か……?)の所作で、ラック達と共にどこか変な場所へと飛ばされたらしい。
ここが何処だか確認しようとも、眩しくて、目を開く事が出来ない。
そのままずっと、身体が慣れてくるのを待っていた。
と、近くで声が聞こえる。


「ほら起きてー。君がいないと困るんだよー」


続けて身体を揺さぶられる。おーきーろー、と別の声がした。
大分落ち着いてきたようなので、思いきって目を開けてみた。すると、眼前に飛び込んできたのは、揺れる炎。辺りを見渡してみると、間違いなく、真っ暗闇。その中で、この炎だけがゆらゆら揺らいでいる。
……眩しいと感じた原因は、これか。


「あ、その顔……ごめん、君が光に弱いの忘れてた」


隣にいたらしい茶髪の少年――ラルジュは、特に反省した様子もないまま頭を掻いた。そして目を細める。
近くにはしゃがみこんでこちらを見ているジャンの姿も。この炎は多分、ジャンが生み出したのだろう。よく目を凝らしてみると、ブーメランに灯された炎だということがわかる。
身体をゆっくりと起こしてみた。しかし、炎のちらつきが目に焼き付いて仕方ない。どうにかならないものか。


『その炎……消してくれないか?』
「えー。そしたら俺らが見えなくなるじゃんかー」


ジャンに不満を言われたので、渋々妥協することにした。ラルジュはその間、見定めるように辺りを眺めているようだ。普通の人間に、闇の中は見えづらいと思うのだが。同じように辺りを見渡すも、他には誰も、近くにいなさそうだった。


『……ところで、ラック達は?』


そう問いかけると、隣でラルジュは少し表情を歪めた。


「それが、別々の場所に飛ばされたらしいんだよね。多分彼は狙ってなかったと思うけど……」
「まー、ディカノもいた事だし、ラック達も多分どっかにいるだろー」


ラルジュがため息をつく中、ジャンが笑いながらブーメランを振った。炎がゆらりと大幅に揺れる。気持ち悪くなるからやめてほしい。


「まずは、ここがどこだか確認しなくちゃ……まあ、粗方予想はついてるんだけど」


ラルジュが若干早口に呟くと、行こう、と二人に促す。
ジャンもおもむろに立ち上がり、わかったー、と手を挙げる。
そういうわけだから、ようやく立ち上がりこの場所の散策をする事になったのだが……如何せん、ラルジュにいつもの余裕が見られないことに、疑問を覚えずにはいられなかった。




dream-2.2
願えば叶う、望めば叶わぬ
-I'm "only" Time guardian.-



……先程も述べたように、本来なら闇の中では、人間の目は利きにくいものだ。
ディカノは吸血鬼の血を半分ひいている、という事で、彼は暗闇の中でも遠くまで見渡せたりするのだ。先にラルジュが、君がいないと困る、と言ったのは、ディカノがいなければ移動すら出来ないという理由からだろう。
当の本人は、暗中にて少し気分が良いようだが、ジャンが灯した炎はやはり、気になって仕方ないようだった。ジャンは、一応ディカノの後ろについていく形となっているが(視界に炎が入らないようにする為)、気配は感じるのだろう。
そのまま真っ直ぐ進んで行く。


「厄介な事に巻き込まれたな……こんな事ならもっと早く気付いておくべきだったかも」


ラルジュがふと溢した言葉。ディカノは歩みを進めながらも、どういう事かと問うた。


「あの時、僕が君たちの前に現れた時には、既に彼の異変に気がついていたよ」


彼というのは案内人の事ね、と後に追記。
ディカノが何か言いかけたが、その前にジャンが口を開いた。


「何がおかしかったのかー?」
「言動だよ。いつもに増して、怪しさが強調されてた。それに……僕が目をつけたのは、糸なんだ」


糸?ディカノとジャンの声が唱和する。


「彼の腕を見た?蜘蛛の巣にでも引っ掛かったような感じだった。でも彼はそんなヘマするような人間じゃないし」


ふーん、と相づちを打つジャン。確かに、その様な雰囲気の人物では無かったと思う。


「だから、考えられる事としては――」


ラルジュが言いかけ、はたと立ち止まる。ジャンが振り返り、どうしたー?とラルジュを見た。ディカノも歩みを止める(だが炎を目にしたくないので、振り向きはしなかった)。
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