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千泡沫庭園

幾つもの泡沫から為る、どこか懐かしい庭園へ。

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ぷろふぃーる

さいしんきじ

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よるのやみ、わらいごえ 


夜。月明かり。屋根の上。こうもり傘をさす少女。
月光を遮り、宵闇に溶け込むまっくろけの傘が、くるりと回る。
少女は、仄かな灯りに包まれた町を見下ろし、楽しそうに笑うのだ。今からわたしは空を飛ぶ。そらをとぶ。


***

ある朝、町の一角で人々が騒ぎ立てている。聞けば、道に少女が倒れていたという。うつ伏せのまま、少女は事切れていた。
身を強く打ち付けた痕はあるけれど、血痕は見つからず。他に周りには何も落ちていない。
そして思い出したように、一人の男がこう言った。
昨夜、町の中、小さくけたけた、笑い声を聞いた、と。


***

『今宵、月明かり、屋根の上』
『一人の少女と』
『こうもり傘』
『少女は果たして、そらをとんだのか』
『そう聞いても、こうもり傘は、けたけたと笑っている』
『きっと、何も身体まで飛ぼうという話では無かったのよ』
『気持ちよかったのか』
『それはもう』


そらをとぶって、最高だわ。


――――――


ついったに投げてたやつ加筆修正。
未だどの世界にも存在しない、飛び降り少女とこうもり傘のおはなし。

下書きと色(仮、あまり気にいってないけど直す気もない)



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「黒の死神との出会い」 


ふらりふらりと、骨だけの魚が、宙を泳ぐ。餌を探しているのか、たださ迷うだけなのか。
その下で、うわ言のように、少女の声。


「生きなきゃ……生きて、あの娘と、話さなきゃ……」


砂の大地。大きな建物は近くにない。果てなく砂の地平線が広がっていた。壊されたのであろう無機質な残骸が、ごろごろと横たわっている。
それに紛れているのは、幾多もの人間の死体。焼けたものもあれば、数多もの傷痕を残すものもある。そして傷だらけである少女も、その中で倒れていた。夜を体現するような髪、だが、それでさえも砂で汚れている。
彼女だけが、息をしていた。しかし、もう、長くはないだろう。既に起き上がる程の気力は残されていなかった。恐ろしいくらいに、痛みは感じず、感覚でさえ、薄れかけている。
辛うじて、不規則に呼吸を続けながら、少女は虚空を眺めた。空から砂が、滝のように落ちてくる。いつかは砂で、ここ一帯は埋め尽くされてしまうだろう。思わず何粒かの涙を溢す。と、涙の雫はふよふよと宙を漂い始めた。シャボン玉のように、次々と空へ溶けていく。
それを見届けると少女はゆっくりと目を閉じ、今までの事を思い返していた。


あれは本当に、突然の事。


――ある日、少女の住む町の上空から、滝のように砂が崩れ、それだけで多くの人が犠牲になった。
それから数日後。砂の落下は止まぬまま、突如現れた機械の兵器に、少女の町を壊された。血は雫となり、ふわりと宙に浮かび上がる。それも、数え切れない程。紅い球が、乾いた空を埋め尽くしていたその光景は、少女の脳裏にも深く焼き付いている。
そして、少女は見た。
町を壊したその機械の軍。彼らの頭にしがみつく、彼女と同じ背格好の少女の姿を。頭上には花の冠、朝日のような髪を揺らし、遠い地平を眺めていた。
――どうしてあの子はあんなところにいるのだろう?
少女は声をかけようとした。しかし、それよりも先に、少女は致命傷を負ってしまう。
動けない少女を尻目に、あの娘は、機械に揺られ、何処かへ行方を眩ましてしまった。

追いかけられたなら。少女の声は更に涙ぐむ。


「だ、れか……つたえて……、かみさま……」


そんな嗚咽混じりの声が、段々消えていく。
そこへ、音もなく舞い降りる影。


「これで、最後か」


その男は弱りきった少女を見据え、冷たく、言い放った。





――――――

1.「黒の死神との出会い」





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「氷化」 


気付けば其処に、氷の船。

陽はいつの間にかその姿を消していた。常夜の闇が顔を覗かせる。
冷気が蔓延し、世界が凍り付く。緩やかと、しかし確実に。
目の前には、天を貫く程の氷の塔。かつて其処は、大きな街。多くの人が住んでいた。凍てつく世界は、過去まで包み込んでしまう。

闇に沈む世界、氷に呑まれる世界。
全てを目の当たりにし、全てを悟り、そうして、青年は膝から崩れ落ちる。


「世界は、眠った……街と、人間――妹と共に……」

小さく、消え入るような声。その言葉を聞いていた他の人間など、いただろうか。





――或るところに、氷の船と呼ばれた星の世界がありました。
世界が凍り付いた時、本来いるはずだった人間は、世界と共に氷に閉じ込められてしまいました。
そして、その期から、いつまでも夜が続く其の世界と成り、光が、陽が失われることとなったのです。

これは、氷船という名の世界に取り残された青年が、光を求めて世界を動かす、ある種の船旅を綴った物語。




「Ark.to-Li.P」

追い求める、世界。

――――――
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夢の影-2.6 


靄がかった道を行く。
ラックは確実に足を進めていく。前方を歩いているヨタと、その手に握られたレヴリーを追いながら。彼らは先から、殆ど喋らなくなってしまった。といっても、喋らないのはヨタの方であって、時々ぶつぶつ呟いているレヴリーが、羽をぱたぱたさせているのが見える。それに思わず噴いてしまうも、ラックはしっかり歩みを進める。


『ヨター。ロンに敵ワナかっタかラって、ソンナに落ち込むコトは』


小さく呟いたその言葉に、ヨタは無言でレヴリーを振りかざす。慌てたレヴリーが前言を撤回していた。何事も無かったかのようにまた歩いていく。
一面の靄景色。どれだけ歩いても、靄は晴れないし、全貌が見えない。本当に、自分らは進んでいるのだろうか。少々不安になってくる。
だからだろうか、この静寂を、微妙な空気を打ち破りたくて。ラックはふと、ヨタにこう問いかけていた。


「ヨタのお師匠さんって、どんな人なの?」


その言葉に、久しぶりに、ヨタがこちらを振り返った。




dream-2.6
夢の小路
-My Master is...-


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夢の影-2.5 


白い空間はどこまでも続く。
視覚上には何もない。
動く人間が二人。
しかし、しかしだ。耳に聞こえてくるのは、誰かの悲鳴。
青い青年は静かに耳を塞いだ。足元で少女が、不安そうに様子を窺う。


「柳尉、きにしちゃ、だめだ」


されども、柳尉は首を横に振る。


「ユメこそ、自分の事を気にするべきだ」


不服そうなユメ。
彼女が彼の心情を全て理解する事は不可能だ。

その声は、嘆きの色。
嗚咽が混じり、後悔の念が聞き取れる。
誰の声かまではわからないのだが。


「……聞き覚えがあるんだ」


ぽつり、柳尉が吐き出した言葉。

そうだ。
コ ン ナ コ ト モ 、 ア ッ タ カ モ シ レ ナ イ。




dream-2.5
嘆きの声、罵声の夢
-Malice's laugh.-



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